• エッセイ

    独学について ピアノ篇1

    ピアノを誰にも習わず、独学で覚えたと言うと、ビックリされることが多い。

    姉が習っていたので家にアップライトピアノがあったが、全く興味がなかった。 高校に入る頃ビートルズを好きになったから、レットイットビーのイントロを弾いたりはしたけど、 ギター(これも独学)の方に興味があったので、ピアノは殆ど弾いていなかった。

    その頃、ロックやポップスの古今東西の名曲が聴きたくて、FM番組のエアチェックが日課のようになっていたが、 ある時、ブルース特集番組で、BIG MACEOの「Chicago Breakdown」という曲が流れた。 かけた人は女性で、名前は覚えていないけどブルースの評論家だったかと思う。 「こんなピアノが英才教育でならっている子供達に弾けるわけがない」というようなことを言っていたのを覚えているが、 曲を聴いて滅茶苦茶カッコ良く、これを弾きたいと思ってしまったのだよね。

    ブギウギピアノである。左手のベースは最初から最後までの殆どを、ドードミーミソーソラーラドードラーラソーソミーミとオクターブでシャッフルしながら弾き、 それに乗せて右手は叩いたり弾いたりといろいろなフレーズを弾くのである。

    1945~47年頃のレコーディングで、そんな有名なミュージシャンでもないから当然楽譜は無い。どうやっていったのかというと…。
    1.録音したカセットテープを何度も繰り返し聴き、
    2.少しは弾けるようになっていたギターで音を取って、ノートに楽譜じゃなくてギタータブ譜みたいなものを書く。
    3.それを見て、まずは左手だけ弾けるよう練習。

    左手のベースパートはコピーもしやすく、音を取るだけは比較的早めにできたんだけど、2分半くらいオクターブでシャッフルさせて演奏するのは結構ハードであった。 問題は右手のフレーズ。いったいどういう風に弾くのだろうか。

    今ならYOUTUBEがあって、この曲を演奏しているピアニストが最低でも5人はいるので、どういう風に弾いているかわかる。 しかし、今から35年前の高校生は仕方ないので、録音したテープを聴いては巻き戻し→再生→巻き戻し→再生…と繰り返し、何とか音を拾っていったのだった。 少なくとも2台のラジカセは再生ボタンを壊しておしゃかにした筈。

    つづく

    2019/04/10